【メディア掲載】全国レガシーギフト協会がNHK NEWS WEBで紹介されました

2016年10月5日付のNHK NEWS WEBに、「遺産は誰に?「遺贈」という遺し方」と題した記事の中で、全国レガシーギフト協会と「いぞう寄付の窓口」に関する記事が掲載されました。

http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_1005.html

“お金持ち”だけの悩みと思われていた「遺産相続」。平成27年に制度が改正されて課税対象が広がったことで、これまでひと事だと思っていた人たちにとっても気がかりになってきました。できるだけ多くの資産をどのように子どもや孫に引き継ぐのか。「相続セミナー」などで対策を練っている方も多いのではないでしょうか。こうした中で、遺産を家族に引き継ぐのではなく、社会に還元する「遺贈」に関心を持つ人が増えています。

相続税の対象が拡大
平成27年から相続税の非課税となる限度額が40%引き下げられ、法定相続人が1人の場合、6000万円から3600万円に引き下げられました。 この改正によって財務省によりますと、亡くなった人の数のうち相続税が課税される人の割合は、 今の4%程度から6%程度に増えると見込まれています。 相続税などの相談を受ける大手税理士法人レガシィによりますと、相談を受けた首都圏の相続税の申告件数は、平成27年3月から1年間で1058件にのぼり、前年の608件から1.7倍に増えたということです。都市部では課税される人が大幅に増えると見込まれていて、土地の評価額を抑えようと、自宅を建て替えて賃貸住宅を併設する人、タワーマンションを購入する人、先祖代々受け継がれ神仏をまつるものには相続税がかからないため、純金製の仏像などを購入する人も出ています。(国税当局の判断で課税されることもある)

“老老相続”や“格差”の問題も
財務省の資料によりますと、日本の個人金融資産、およそ1700兆円のうち60歳代以上がおよそ6割の資産を保有しています。この20年間で60歳代以上の保有割合はほぼ倍増。被相続人の死亡時の年齢は 70%近くが80歳以上となっていて、遺産を相続する子どもの年齢は50歳代以上が見込まれます。高齢者から高齢者に対する、いわゆる“老老相続”が進んでいるのです。子育てや教育など、最もお金が必要な若い世代に資産の移転が進みにくい状況になっているとも言えます。しかも少子化によって、法定相続人の数も平成26年で2.93人と、30年前の4人に比べて減少。1人当たりの相続財産が大きくなる “資産の集約化”が進んでいます。

一方で、生前贈与によって若者に早めに資産を移転しようと、教育や結婚・子育て資金のために贈与する場合に非課税措置が設けられたことによって、家族内のみに非課税で資産が引き継がれることで、格差が固定化してしまうのではないかという問題も指摘されています。

「遺贈」という遺し方
そのような中で、家族に遺産を相続するのではなく、別の遺し方に注目が集まっています。ことし2月。東京・港区の男性が所有していた六本木ヒルズのマンションの1室が、本人の遺言に基づいて大分県に寄贈され、県が1億4000万円余りの価格で入札にかけていることが分かりました。この男性は、今の大分県立盲学校の元校長の孫で、遺言には「マンションを売却した資金を盲学校のために役立てて欲しい」と書かれていたということです。マンションの一室は19階の広さ75平方メートルの部屋で、入札の結果、1億9200万円で落札されました。このように遺言によって、自分の財産やその一部を特定の人や団体に譲り渡すことを「遺贈」と言います。「遺贈」について、世界各地の災害現場や紛争地で医療支援を行っているNPO「国境なき医師団日本」が、ことし6月に1000人に対してアンケート調査を行いました。その中で「将来大きな資産を保有していた場合、社会の役に立てるために『遺贈』したいと思うか」と聞いたところ、「遺贈をしたい」が13.6%、「遺贈してもよい」が53.4%となり、それらを合わせると 7割近くの人が「遺贈」に関心を持っていることが分かりました。2年前の調査に比べて関心を持っている人が増えているということで、「国境なき医師団日本」は、 家族構成が変化し相続人である子どものいない世帯が増えていることや、社会貢献に対する意識が高まっていることなどが背景にあるのではないかと分析しています。

遺産を社会に役立てたい
東京都内に住む64歳の女性も「遺贈」を選んだ1人です。独身で子どもはおらず、ミニチュアダックスフントと暮らしています。およそ10年間介護した認知症の母親を4年前に亡くし、母親から現金や土地などを相続しました。「自分が死んだ後、残った財産はどうなるのだろうか」。子どもなどの法定相続人がいない場合、遺産は最終的に国庫に入ります。将来に漠然と不安を感じる中で、思い出したのが若いころに旅をしたネパールだったと言います。はだしで歩く人々、自分と同じ年頃にも関わらず、重労働のせいか顔に深くしわが刻まれた女性、骨が浮き出るほどやせ細った家畜などの光景。ーーー世界にはあれだけ苦しんでいる人がいる。何かの役に立てれば。この女性は「世界の恵まれない子どもたちのために使ってください」などと書いた遺言書を作成。自分が死んだ後、海外で貧困問題の解決に向け活動している団体に財産が寄付されるよう「遺贈」の手続きをしました。女性は「遺言書によって、死んだ時の遺産がどう使われるかといったことについて、きちんと計画がたったのですっきりした」と話していました。

「遺贈」は広がるか?
財務省によりますと、公益法人などへの「遺贈」による寄付は、平成25年の実績で国内では52件、額にして41億2768万円となっています。一方で、寄付文化が根強いアメリカでは、およそ2兆3400億円と日本とはまさに桁違いの規模。最高裁判所によりますと日本では、法定相続人がいないことなどによって、国庫に入る相続財産は、毎年300億円から400億円程度で推移しているということで今後、 日本でも「遺贈」が増える余地はあると言えますしかし、まだ国内で「遺贈」が一般的ではない中で詳しい知識を持つ専門家は多くはありません。遺贈した財産が土地や株式だった場合、課税されるケースがあり税制の専門家の助言も必要です。このため、国内でも「遺贈」をサポートする動きが出ています。日本財団はことし4月から「遺贈」についての相談窓口を設置し、6人の専門の相談員を配置しました。寄付先の相談や遺言書の作成の手伝い、さらには「遺贈」に先立つ老後の相談などに無料で応じています。開設から半年でおよそ400件の電話相談があったということです。

また、11月にはNPO法人や弁護士、税理士らが「遺贈」の普及に向けた全国組織「全国レガシーギフト協会」を立ち上げます。協会では「遺贈」の情報提供や相談に応じるウェブのポータルサイトも新たに作成することにしています。そのうえで相談者の要望に応じて、地域のNPO法人を紹介できる態勢を全国的に整えることにしています。日本財団の長谷川隆治さんは「一生かけて築いた財産をどう活用するか、自分で決めることは人生の締めくくりの作業だと言える。『遺贈』を通して、自分の人生を振り返ることや残された人生を有意義に過ごすきっかけにもなる」と話していました。

取材を終えて
私は子どもはいませんが、将来、子どもができて残せるほどの財産があれば、子どもに譲るのが“普通”だと思っていました。しかし、社会でいろいろな人に助けられながら働いて築いた財産は、また最後は社会へ還元することも一つの考え方なのかもしれないと感じました。
そして社会貢献としての「遺贈」は、これまで自分がどう生きて最期にどのような思いを社会にのこしたいのかを伝える一つの手段なのかもしれません。

記者:
経済部寺田 麻美 記者平成21年NHK入局
高知放送局を経て現在 財務省を担当